2006年07月19日

2006.1 中国雲南省旅行記 (Natsu4歳) 9 ドクター・ホー/玉龍雪山本草診療所

9 「ドクター・ホー/玉龍雪山本草診療所」

 麗江の北15km程の所に白沙という村がある。

 そこには明代の宗教壁画や重要文化財に指定された寺院もあるらしい。日課の食べ放題火鍋通い以外特にすることのない我々は、格好の暇つぶしとばかりにこの村に向かった。

 観光客がいないではないがそれほど多くはない。のんびりとした村だ。一番有名な壁画がある大宝積宮なる寺院の参道には少し土産物屋が並ぶが、あとは特に何がある訳でもない。けばけばしく化粧をした麗江より落ち着いていて居心地が良い。

 ありがたいらしい壁画を鑑賞する。中央にこの世界の大親分であるゴータマさんがいらして、その周囲に大幹部、更に周囲に幹部、三下、鉄砲玉が並ぶという例の様式だ。私にはどうもこの種の芸術の面白さが分からない。ただ有名だからという理由で見に来ている、最も質の低い見学者^h^h^h見物客だ。見る人が見れば興味深いんだろうけどねぇ。そんなことを考えながら学生時代趣味で遺跡を掘り返していた配偶者の様子を見ると、あまり私と変わった様子はない。まぁ、こんなもんか。(苦笑)

 のんびりと村を散歩していると、なんだか特異なオーラを発している場所がある。建物の前に新聞や雑誌の切り抜きがやたらと飾られている、テレビや雑誌で取り上げられたラーメン屋のような風情だ。なんだなんだと近づいて読んでみると、薬草がどうのとか山の漢方医師とかそんな記事ばっかり。

 あ、そうか。ドクター・ホーって白沙にいたんだっけ。

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 ドクター・ホーこと和士秀氏。彼はこの地で診療所を営む漢方医だ。日本のいくつかの旅行記にも取り上げられたことがあるので、結構有名な方だ。この方をどう紹介して良いのか良くわからないが、多分ご本人はこう紹介されることを望むのだろう。なにしろこのプリントアウトを現地で読まされたのだから。

http://www.asia-photo.net/yunnan/pref/lijiang/lijian1.html

 ふむふむと記事を読んでいると、奥から"Hello"と声がかかる。ドクター・ホーご本人だ。なるほど、本で読んだとおりの御仁だ。笑顔で我々に「中に入れ」と言う。普通こういう展開で建物の中に入ることはないのだが、一応何も知らない関係(?)でもないし、暇でもあったのでお招きを受けることにする。

 「日本人か?ではまずこれを読みなさい」」

家族全員に健康茶を振る舞ってくれたドクター・ホーは、我々が日本人だと知ると日本人客専用ファイルを数冊を差し出す。名刺には大企業の社長さんやら有名人(らしい)人やら、こんなもの見せても何の箔もつかないだろう一般人の名刺が山ほどある。ほうほう、J*Sの社長も来たか。治療の副作用でJ*Lに統合されたのか?

 別のファイルには日本語の雑誌記事のコピー、Webサイトのプリントアウト、手紙などがいろいろ保存してある。中には「白血病の薬をまた送っていただけませんか?」と書かれた手紙もある。切ない。こんな物を通りすがりの人間に見せていいのか、と日本人観光客は思う。個人旅行者の間では結構有名な「旅行人」というミニコミの主催者であるイラストレーターの絵日記のようなものある。これどっかで見た記憶があるなぁ。

 そして極めつけは「ちび***ちゃん」の作者である「さく**もこ」との記念写真だ。日本人なら蔵前仁一は知らなくても「ち*ま*こ***」を知らない者は少ない。単なるマンガ家に過ぎない彼女がここに来たことで我々のドクター・ホーに対する評価が上がることはないのだが、家族全員大変喜ぶ。

「さ*らも*こってこういう顔だったのか!」


 私が多少英語が出来ると知り、ドクター・ホーは英語版ファイルも持ってくる。中にはアメリカの某病院のカルテがあり、ガンが消滅したケースを記録している。これは英語版のさ*ら*もこ写真的重要書類のようで、英語を話す来客全員に見せていた。彼の案内には一定のパターンがあり、同じフレーズを、目を覗かれながら、隣席から、建物の奥から度々聞くことになる。毎日やってるのかな、これ?

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06yunnan_DR_ho.jpg

 何はともあれここは診療所だ。お茶をごちそうになってファイルを見学させてもらうだけではもったいないので、一応健康に関する相談などをしてみる。自慢ではないが私は心身共に大変不健康だ。特にここ数週間、少しおおきなおかずを箸で持っただけで右腕に痛みが走る。

 「かなり低血圧。あと糖尿になりそうな傾向がある」
ドクターは脈を取っただけで言った。大当たりだ。さすが超ベテラン漢方医、偽物ではないようだ。少し信頼を感じて最近の右腕の不調を相談する。

"Circulation of 'CHI' on right hand is DEAD."
(右腕の気の流れが死んでいる)

げっ!し、死んでましたか、私の経絡!!

一大事だ。はやく蘇生させてもらわないと、このまま右腕が動かなくなってしまうかもしれない。ここはなんとしてもドクターに治療していただくしかない。

 心配するなとばかり、ドクターは奥の部屋に我々を招き、粉末の薬草を混ぜ始める。部屋にはポリバケツに入った様々な薬草が壁一面に置いてある。なにやらいろいろな粉を混ぜ、私のための飲み薬と塗り薬ができあがった。

「まずこの薬は200ccのお湯に溶いて1日3回飲みなさい。あと腕の痛みがひどい時には、この薬を500ccの75%エタノールに溶かして塗りなさい」

 更にもっと薬が欲しい時には連絡しろとメールアドレスをいただいた。メールが届き次第直ちに日本まで薬を送ってくれるのだそうだ。うーん、雲南の仙人医師もメールを使う時代なんだねぇ…

 ドクターも我々も代金のことは口にしない。この部屋ではお金をことを語ってはいけない、と、半強制的に読まされた日本人専用ファイルの記事にも書いてあった。だからと言ってただという訳にもいかず、昔相場と聞いた記憶のある金額より少し多めのお金を、奥さんだと思われる方にそっと渡す。
寄進の気分だ。こういうのは苦手なのだがしかたない。中国だけどしかたない。ドクターは笑顔で我々を見送ってくれた。

             - - -

 ドクターに関しては、正直、やや胡散臭いと感じる部分もあった。だいたいあのスタイルはキャッチセールスのようだし、雑誌や新聞の記事をこれ見よがしに見せるのはどうかと思ったし、何しろ中国人受診者が一人も来ていなかったからだ。

 しかし偽物なのかと言えば、決してそうではないだろう。漢方薬や東洋医療には間違いなく力があるし、彼はその道のベテランだ。何年も漢方薬と格闘してきた老人が無力な訳がない。私はドクターに処方してもらった薬を大切に鞄にしまい込んだ。旅行が終わって2週間が経ったが、まだしまい込んだままだ。



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